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【海外トレンド発信】ベネズエラで流行する米のキャッシュレス決済『Zelle』

2021年1月8日
モーゲンスターン・シカゴ 代表
米国公認会計士 村田幸伸氏

アメリカはクレジットカードの利用が多いので、今までも殆どキャッシュを持ち歩く事がなかった。私もアメリカで現金を触った機会はもう何年も無い気がする。クレジットカードさえ持っていれば困る事は無いのだが、最近はこのクレジットカードさえも持たない方向へと進んでいる。AppleペイやPaypalペイなどのスマホ決済だ。そんな中、少し特殊な特徴を持つ『Zelle』というサービスがここ数年アメリカで普及し出している。



Zelle
https://www.zellepay.com/
銀行口座を持ち歩く
Zelleが他のサービスと違うのは『銀行直結』という所だ。Zelleで支払いを行うと銀行口座から直接金額が引かれる。デビットカードのスマホ版のようなものだ。ここまではデビットカードをAppleペイに入れれば同じ事ができてしまうがZelleはそれだけではない。メールアドレスや携帯電話番号で簡単に送金ができてしまうのだ。もちろん送金手数料はかからない。例えばレストランで4人で割り勘する場合、誰かがまとめてチェックをして後で4人で割るなどという事がある。その場合他の3人はスマホで支払い相手の携帯番号を指定して金額を入れてタップするだけ。皆Zelleに自分の携帯番号と銀行口座を登録しているので簡単に送金が済んでしまう。ビジネス側もZelleを使う事ができるので、売上の入金をZelleで受け取れば送る方も受け取る方も手数料無しでやり取りできる。


ベネズエラでZelleが普及
Zelleはアメリカのサービスでアメリカ国内の銀行口座しか登録できないのだが、なぜか南米ベネズエラでZelleが生活のインフラになっているらしい。いくつかのニュースで紹介されていたが、皆スマホにZelleを入れており生活用品の売買がZelleで行われているらしい。理由はベネズエラのハイパーインフレーションだ。現地通貨は全く機能しなくなっており、機能通貨が実質米ドルになっている。とは言えドルをいちいち両替していてはコストも手間もかかるので、元々ドル口座のZelleでやりとりするようになったそうだ。Zelleの口座はアメリカにいる親戚や友人が複数の銀行口座を開設し、各人のZelleに割り当てるという事を行っているらしい。ベネズエラ国内の商取引の多くが、アメリカの銀行口座間の決済で成り立っているという現実のようだ。情勢不安の国ではドル決済が主流になる事があるが、その場合今後はZelle決済がますます普及してくかもしれない。
システムを無視しExcelで細かく管理
通常時ならシステムが各商品の売れ行きを予測し、リードタイムも適切に設定しておけば必要な発注時期や数量をシステムが弾き出してくれる。しかし今の状況では“過去6ヶ月の平均値”などで予測するシステムマティックな販売予測に頼る事はできない。個別に注意深く洞察し、リードタイムも適時設定値を変えながら発注時期と数量を決める必要がある。通常運転に戻るまではExcelを駆使した手作業の発注業務が続きそうだ。


翌日審査完了でスピード融資
ポチッた翌日、融資審査が通ったという通知と共に融資契約書がメールで送られてきた。オファーされた融資上限金額がそのまま銀行に振り込まれ、それが元本になるようだ。となると先に受け取ったアドバンスは融資金額に含まれない事になる。やはりあれは本当にただ補助してくれただけだったのだろうか。。金利の3.75%は安くはないが、アメリカで普通に融資を受けようとすると4%~6%の金利がかかる。そう考えると、今後の不測の事態に備えて借りておいた方がいいかもしれないと思い、そのままこの融資を受ける事にした。

返済は12ヶ月後からスタートする事になっているが、どこにどうやって返済するのかもまだ明らかにされていない。きっと何らかの返済システムを準備して12ヶ月以内には明示されるのだろう。準備が整う前にどんどん始めてしまうあたりが実にアメリカらしいと感じた一件であった。
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ローンを受けた大企業は連日次々と判明し、新聞等で大バッシングを受けた。このバッシングによりLAレイカーズなど多くの企業が政府にローンをすぐさま返金するという事も起きた。しかしマスコミに嗅ぎつけられていない大企業は未だ多く、恐らくバレるまでは返金しないというスタンスを取るのだろう。
第2ラウンドスタート

4月27日に第2ラウンドのローン受付がスタート。今度の予算は$250B。前回より少ない。今回は大企業が申し込みしにくい世論環境が整ったが、それでも一瞬で無くなってしまう気配は濃厚だ。メガバンクのローン申請システムは未だにフリーズ状態でカクカク言っている。埒が明かない。そこで私は新興勢に目をつけた。Paypalだ。私が取締役をしている企業の殆どはメガバンク経由での申請で立ち往生していたためPaypalでのローン申請に切り替えた。今回の件でパンク状態となってしまった金融機関を補完すべく、政府はPaypalなどの新興フィンテック勢にも銀行免許を急遽発行したのだ。『新興のPaypalであればまだパンクしていないはず』という目論はみごとに当たり、トントンとプロセスが進む。結果ローン申請は3日ほどで完了し、後は政府からの返答待ちという状態となった。$250Bに潜り込めたかどうかはあと数日後にわかるだろう。

もし潜り込めたら2ヶ月間は今の人員を維持できる。しかしダメだったら更なるリストラを決行する必要が出てくるかもしれない。全てはロックダウンがいつ終わり経済が正常に戻るかにかかっている。ピリピリした春になりそうだ。

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