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【海外トレンド発信】AIで経費の不正請求を発見する米『AppZen』

2018年5月29日
モーゲンスターン・シカゴ 代表
米国公認会計士 村田幸伸氏

既にAmazonやComcast、Citibankなどの大企業で採用されているAIベース不正調査サービス『AppZen』が最近アメリカで流行りつつあるようだ。簡単に言うと『経費チェック』をAIで行うサービスなのだが、これがなかなか深い。

AppZen
https://www.appzen.com/

どうしても最後は人力だった経費チェック

以前経費精算サービスで欧米のディファクトスタンダードとなりつつある『Expensify』を記事にしたが、あのサービスはレシート等を写真に撮るだけで、あとはAIが画像認識し会計システムに必要な入力を行い、更には経費精算の振込までを自動で行ってくれるものだった。これは非常に革新的で今まで経費精算を自分でしていた営業員達や、その経費を会計システムに入力しなければいけなかった経理担当達にとってまさに救世主のようなサービスだ。とても楽になった。ただ、それでもまだ二つの問題がある。一つは各担当者は楽になったがそれによって人を減らせるわけではない。つまり『大きな経費節減にはなっていない』という点だ。そしてもう一つは、経費の「チェックと承認」は未だ人力で誰かが行わなければならないという点だ。承認作業自体はクリックひとつとなり簡単になったが、チェックは誰かがしないといけない。そしてその役目を担う人は世界中にもの凄い数がいるはずだ。もしこの『チェックする』という作業をAIが担うことができたら、この経費節減効果は大きなものになりそうだ。
経費チェックに特化したAI

ここに目をつけたのがシリコンバレー発のAppZenで2012年に創業している。既に$3M以上の出資を名だたるベンチャーキャピタルから得て、Fortune 100企業の25社に導入実績を持っており骨太な感じがするAI企業だ。AIを使ってシステム内にある経費データを分析し『これは少し怪しいかもしれません』というアラートを出してくれるサービスだ。対応するチェック項目は『会社のルール違反』や『税法違反』など様々な項目で調査し、怪しいものだけをピックアップしてくれる。データが積み上がれば積み上がるほど機械学習の精度が上がるので、正しい経費にアラートを出すケースは少なくなっていく。そうなると、本当に違反しているものだけを抽出することができ、経費チェック業務の量は激減する。これは企業にとって大きな経費節減効果がありそうだ。


プランは一番下のもので従業員数1000人から5000人となっているので、中小企業用ではないようだ。大企業になればなるほどこの経費節減効果は高いと思われるので、導入する価値がありそうだ。
元データとなるテーブル群

関連するテーブルを繋げていくと、一つの大きなデータが出来上がる。先程の例だと商品毎にその行に詳細や価格、卸値、資産や売上や原価の勘定科目などなどが横に羅列されるデータだ。元はいくつものテーブルだったものを一つにまとめたもので、このデータは在庫や原価を扱う分析で頻発に使われるデータとなるだろう。目的別にこういったテーブル群ができてくると、今まで無味乾燥としていたデータ達が意味をもったものとして見えてくる。
テーブルが大きいとクラッシュ!

さて、出来上がったデータ群を元にデータ分析を開始しようとするとここでまた事件が起こる。エラーが出てしまってプロセスできないのだ。Googleでエラーコードを検索して調べていったところ、このエラーは元データが大きすぎる時に出てきてしまうものらしい。せっかく各テーブルを繋げて意味あるデータを作れたのに今度は「大き過ぎる!」と言うのだ。もう!と思って更に詳しくググっていくと、どうやらできあたった大きなデータの中で、必要のないデータ列を「隠す」というテクニックがあるらしい。エクセルで言うところの「J列とK列は今は必要ないデータだから隠しておこう」というようなテクニックだ。そんな事で解決するのが疑問を感じながらも試したみたところ、これで見事解決した。後々わかったのだがこの「不必要なデータを隠す」という作業はとても重要で、データ分析のプロセススピードを上げる効果があるらしい。必要なデータ以外は「隠す」というのが基本らしく、これをしないでデータ分析にかかると毎回プロセスに時間がかかってしまいグルグルしたアイコンを見ながら待つ時間が生じてしまうらしい。

進めば進むほど新たなハードルと遭遇するTableauだが、有難いのはBIツールの中では歴史があるのでGoogleで検索すると解決策を探し出しやすい点だ。これが最近出たばかりのシステムだとこうはいかないと思うので、歴史があったりユーザーが多かったりするのは、新しいシステムを選ぶ際にとても重要な事なのかもしれない。



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