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ワークダイバーシティ

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【海外トレンド発信】会計事務所をネットで買えるAccounting Practice Sale.com

2018年7月2日
モーゲンスターン・シカゴ 代表
米国公認会計士 村田幸伸氏

最近シカゴ郊外のある小規模な会計事務所を買収する手前まで話が進んだ事があった。事の始まりはAccounting Practice Sale.comというウエブサイトに会員登録し、売り案件の情報がメールで流れて来るようになった事がきっかけだった。このウエブサイトはアメリカでは会計事務所売買のAmazon的な存在で、ほぼ独占と言っていいほどの案件数とマッチング実績を誇っている。


Accounting Practice Sale.com
http://www.accountingpracticesales.com/


希望エリアや規模に応じたきめ細かいマッチング

私は会員登録時に自分の活動エリア内を指定し、規模も現実的に可能な規模(小規模)を指定していた。すると概ね月に1件か2件の新しい売り案件がメールで流れてくるようになった。このメールがなかなか秀逸で、ただ登録された情報を機械的に流すのではなく、当サイトの担当者が売り案件の会計事務所の特徴や得意分野などを分析して詳しく説明してくれる。もちろん盛っている部分もあると思うのだが、メールを読むと思わず「いい事務所だなぁ」と思ってしまうような巧みな内容となっている。間違いなく実際に先方にヒアリングして分析いるなと感じるような生々しさ溢れた紹介がされているので、単なる売り情報ではなくリアリティーを感じてしまうのだろう。
情報請求すると更に詳しい情報が

私は届いたメールの中から過去に2件情報請求をしてみた。2件共にその事務所のスタッフ構成、各スタッフのスキルレベル、売上に占める税務・会計・コンサルティングの割合。顧客の規模や業種の特徴など、非常に細かい情報が提供された。もちろん相手の事務所はまだ特定できないように事務所名や場所に関しては伏せたままだった。この時点で『この事務所を買収した場合自分がどんな風に振る舞っていけるか』という事がおぼろげに想像できるような情報だった。
無駄打ちを省くための徹底的なコントロール

こちらが話を前向きに進めたいという意思表示をすると、実際に相手と直接交渉できるようになる前に当サイトから様々な細かい質問が飛んできた。買収資金はどうやって手配するのかや、スッタフは全員キープしたいか数名にするか、その事務所が行っている特殊な業務を私にハンドルできるかどうかなど、売り主がきっと『聞きたいだろう』と思う内容をウエブサイトの担当者が詰めていく。これは、多忙な双方の事務所オーナー達に無駄な面会をさせないためのコントロールだそうだ。この段階でこちらからも様々な希望を伝える事ができ、担当者から先方にその希望が可能かどうか確認してくれる。
多くの売り案件が事業継承

私が実際の交渉を行った事務所も売却理由は事業継承だった。50代後半でまだまだ働けそうなCPAの方だったが、毎年のタックスシーズンの多忙さに疲れたらしく『アーリーリタイアしたい』という希望だった。お会いすると、その事務所は小規模なだけあってこのCPAの方が業務の殆どをコントロールしており、もし彼がアーリーリアタイアして事務所から抜けてしまうとなると誰も他に業務をまわせる人がいない事がわかり、私ではカバーしきれないため断念したが、大きめの事務所であればカバーできる人材が多くいると思うので話がまとまるのだろう。

私に届いた案件の多くは、売却希望価格が年間請求金額(売上)の1.3倍前後が多かった。このあたりが相場となっているのだろう。情報のやり取りや交渉の過程もスムーズでフェアなので、今後も良い案件があったら取り組んでみたいと思う。

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