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ワークダイバーシティ

会計ダイバーシティでは働き方の多様性(ワークダイバーシティ)を支援しております。
勤務をしていると、現職の業務中心でなかなか他業界、異職種の情報は入り難いことと思います。
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【海外トレンド発信】会計業界にバーチャル化のブーム到来

2021年3月17日
モーゲンスターン・シカゴ 代表
米国公認会計士 村田幸伸氏

Facebookがこんなにビジネス寄りのメディアになるとは想像していなかった。最近のFacebookは流れてくる記事の殆どが会計やテック絡みのサービスの広告や推奨記事で溢れている。AIを使ったクラウドツールや会計事務所用のアウトソースサービスなど、新しいサービスがどんどんタイムラインに流れてくる。良さそうなものが多いのでついついタップして内容を確認するのだが、そのアクションが引き金となり更に同種のサービスの広告が私のタイムラインに集まってくる。今や友達の近況など全く表示されなくなってしまった。『あなたは友達よりもビジネスなんでしょ』と言われているようで微妙ではあるが、新たなテクノロジーやサービスの情報を入手する最良のメディアとなっている。

乱立する会計業界のアウトソースサービス

今までも経理業務をリモートでやってくれるようなアウトソース企業は存在したが、あまりメジャーではなかった。会計業務、特に記帳業務は属人的な業務なのでひとつの企業の経理を完全に回せるまでになるのに最低でも数ヶ月の時間がかかる。少し高度な会計処理やその企業特有のレポーティングスタイルに適応するとなるともっとかかるだろう。アウトソースサービスの競合対価はクライアントの経理スタッフの人件費となるので、さほど高いサービスフィーを課金する事も難しい。トレーニングに時間がかかる割に薄利となってしまうからか、さほど魅力的な業態には見えなかった。ところがパンデミックになった昨年頃から様々なアウトソースサービスが登場。一般企業向けに経理サービスをリモートで提供する企業は破竹の勢いで増え、会計事務所向けにリモートで会計税務業務を下請けする企業も出てきた。『今まで数人でやっていた小規模会計事務所でも、私達を使えば機動的に規模をスケールできますよ』というキャッチフレーズで私のような零細会計事務所オーナーの興味を惹きつけている。更には『クライアントを増やす営業活動は私達がやりますよ』という営業代行サービスまで出現。営業が苦手な私のような会計士は思わずポチッとタップしてしまう。
リモートと副業が業界のアクセルに

今までの会計業界では多くの人がフルタイムで企業や会計事務所に勤務していたので、なかなかアウトソースをオンデマンドでやってくれるスタッフを揃えるのが難しかったのだろう。ところが昨年からのパンデミックで自宅からのリモートワークが会計業界の主流となった。副業で複数の仕事をする人も増え、供給する側が爆発的に増えた事がこのアウトソースブームの主原因のようだ。先程例に出した会計事務所向けのアウトソースなどは、会計士レベルのアウトソーススタッフが必要となる。これもリモート&副業により会計事務所に所属しながら他の仕事もするCPAが増えた事で実現可能となったのだろう。このワークスタイルがパンデミック後も定着すると、今後も会計業界のバーチャル化がどんどん進んでいきそうだ。
第2弾もフィンテック勢が躍進
前回は大手銀行がオンラインでの申込みシステムを用意するのに相当ジタバタし、PaypalやQuickbooksなどの新興フィンテック勢が銀行免許を獲得して大いに活躍した。オンラインに特化している分効率よくわかりやすいサイトを作成し、多くのユーザーを獲得した。今回の第2弾もルールが変わったためローン申し込みウエブサイトも変更の必要があり大手銀行は再びモタモタしてしまったが、フィンテック勢は速やかに専用ウエブサイトを開設した。これにより恐らくまた多くの顧客を大手銀行から奪ったのではないだろうか。

弊社の顧問先も全て、無事Paypal経由でPPPローンの申し込みを完了したが今後どのような手続きでローンの免除手続きを行う事になるのかが気になるところだ。


翌日審査完了でスピード融資
ポチッた翌日、融資審査が通ったという通知と共に融資契約書がメールで送られてきた。オファーされた融資上限金額がそのまま銀行に振り込まれ、それが元本になるようだ。となると先に受け取ったアドバンスは融資金額に含まれない事になる。やはりあれは本当にただ補助してくれただけだったのだろうか。。金利の3.75%は安くはないが、アメリカで普通に融資を受けようとすると4%~6%の金利がかかる。そう考えると、今後の不測の事態に備えて借りておいた方がいいかもしれないと思い、そのままこの融資を受ける事にした。

返済は12ヶ月後からスタートする事になっているが、どこにどうやって返済するのかもまだ明らかにされていない。きっと何らかの返済システムを準備して12ヶ月以内には明示されるのだろう。準備が整う前にどんどん始めてしまうあたりが実にアメリカらしいと感じた一件であった。
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ローンを受けた大企業は連日次々と判明し、新聞等で大バッシングを受けた。このバッシングによりLAレイカーズなど多くの企業が政府にローンをすぐさま返金するという事も起きた。しかしマスコミに嗅ぎつけられていない大企業は未だ多く、恐らくバレるまでは返金しないというスタンスを取るのだろう。
第2ラウンドスタート

4月27日に第2ラウンドのローン受付がスタート。今度の予算は$250B。前回より少ない。今回は大企業が申し込みしにくい世論環境が整ったが、それでも一瞬で無くなってしまう気配は濃厚だ。メガバンクのローン申請システムは未だにフリーズ状態でカクカク言っている。埒が明かない。そこで私は新興勢に目をつけた。Paypalだ。私が取締役をしている企業の殆どはメガバンク経由での申請で立ち往生していたためPaypalでのローン申請に切り替えた。今回の件でパンク状態となってしまった金融機関を補完すべく、政府はPaypalなどの新興フィンテック勢にも銀行免許を急遽発行したのだ。『新興のPaypalであればまだパンクしていないはず』という目論はみごとに当たり、トントンとプロセスが進む。結果ローン申請は3日ほどで完了し、後は政府からの返答待ちという状態となった。$250Bに潜り込めたかどうかはあと数日後にわかるだろう。

もし潜り込めたら2ヶ月間は今の人員を維持できる。しかしダメだったら更なるリストラを決行する必要が出てくるかもしれない。全てはロックダウンがいつ終わり経済が正常に戻るかにかかっている。ピリピリした春になりそうだ。

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