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【海外トレンド発信】オートメーションのジレンマ

2018年9月24日
モーゲンスターン・シカゴ 代表
米国公認会計士 村田幸伸氏

RPAやシステムを使った会計業務の自動化は今のトレンドで今後も進むと思われるが、一度オートメーションを構築すると後々困った事になってしまう事もある。イギリスの顧客でそのような事態に遭遇した。

この会社はあるニッチな商品を世界から仕入れてイギリス内で販売している会社なのだが、元の経営者がIT好きな人だったため社内プロセスの自動化が素晴らしいレベルで整っていた。それは最近出来上がったものではなく、9年程前から今のシステムで稼働していたそうで、当時は本当に最先端だったのだろう。
独自のスクリプトで業務を自動化

Sage 300という中規模企業用の多機能な会計システムを使っているのだが、これを使いこなすだけではなく、Websiteから入るオンラインオーダーをCRMに流し込む独自のシステムを構築していたり、更にCRMからSageにデータを流し込むスクリプトがあったりと、あらゆる所に自動化が施されている。当時は社内にプログラマがいたそうで、何か面倒な作業があったら彼に頼むと簡単にC言語でスクリプトを書いてくれていたそうだ。異なるいくつものシステムをスクリプトで繋ぎ、スマートな業務の流れを実現していた。
システムが古いがアップデートできないジレンマ

社内のスタッフ達はとても快適に仕事をしているのだが、私が初めてこの会社を見る事になった時に少し戸惑ってしまった。Sage 300のシステムが古すぎて、最近のシステムでは普通にできるような事が簡単にできないのだ。バランスシートの数字をダブルクリックするとドリルダウンするというような基本的な事すらできない。その場合は勘定科目一覧表に行って、勘定科目を選んで、期間を指定して詳細を出して・・・などという事をしないといけない。「これはさすがに古すぎですよ。新しいのに変えませんか?」と進言したところ現場は猛反発。せっかく完璧なまでの自動化が実現しているのにわざわざ会計的なレポーティングのためにシステムを変えるなんてありえないという事だった。確かにそれはそうだと思い、私が古いシステムと格闘してなんとかする事になった。
いきなりのサポート終了

ところが今回どうしてもシステムを変えなければいけない事態となった。あまりの古さに遂にSageのサポートが終了してしまったのだ。現在の機能は新しいクラウド版のSageで完璧以上にカバーされているのだが、自動化していた複雑な業務スクリプトはもう使う事ができない。新しいクラウド版と昔のシステムでは構造も思想も全く違うため、スクリプトを変更する程度ではどうにもならない。「早めに新しいシステムへの変更に取り組まないといけませんね」という話にはなったものの、なかなか荷が重く腰も重い。
自作のジレンマ

これが既成品のシステムの組み合わせであれば、システム同士が連携できるよう双方が随時アップデートをかけてくる。しかし独自に作ったスクリプトやRPAのフローは環境が変わっても誰もアップデートをかけてくれない。自分で随時メンテしていくしかないが、これはなかなか手間がかかる作業だ。自動化を追求していくのはとても重要な事だが「自作」の部分をいかにして減らすかという事を考える事もこれからは重要なのかもしれない。。

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